私がST(言語聴覚士)の仕事を始めて10数年たち、これまでに、たくさんのお子さんとその保護者の方にお会いしてきました。

 

仕事を始めて間もない時に、「どうすれば言葉の力が伸びますか」というあるお母さんの問いに対して、経験もなく、少ない知識で明確に答えることができず、未熟な自分のやり方でお子さんの大切な時間を預かって指導していいものか、と責任感と不安で押しつぶされそうだったことを思い出します。あれから経験を重ね、引き出しはだいぶ増えましたが、どの子にもあてはまる指導法というものはないですし、お子さんによって発達の道筋も、必要な支援も異なります。出会うお子さんひとりひとりを理解することから始め、試行錯誤の毎日です。

 

 初めて、ドルフィンにいらした保護者の方にとって、スタッフに囲まれて、わが子と関わる状況に緊張したり、戸惑うこともあるかと思います。私たちスタッフも、どんな遊びが楽しくて、こちらのすることに興味をもってくれるのか、どういう声がけだと伝わりやすいのか、お子さんに働きかけながら探る日々です。お子さんと保護者の遊び方ややりとりを見て、学ぶこともたくさんあります。

 

 ドルフィンのスタッフと保護者が日々、一緒にお子さんに向きあって、お子さんが内に秘めている成長の芽がすくすくと伸びるような豊かな土壌作りに取り組んで、こどもを育てることの大変さも喜びも共に味わうことができればと願っています。(H)